第34回大会の大会長を仰せつかりました和光大学の菅野恵です。
心理学の立場から児童福祉領域と学校領域にて実践と研究を行ってきたことから、大会テーマを「子どもから学ぶメンタルヘルス」としました。
子どものセラピーをしていると、言葉になりにくい心の傷つきは、さまざまな形で表現されます。親から不適切な養育を受けてきたある子は、集団場面が苦手で気がつくとふらっといなくなってしまいます。ケアワーカーや教師は「落ち着きのない子」「ADHDではないか」と困惑しています。
セラピーでは、言葉を投げかけても無反応なセッションが続き、セラピストである私は焦り、無力感を抱き続けます。しかし、絵を描いてもらうと、泣いている子の姿と分身であるオバケの姿を表現し、その絵について教わることから対話がはじまります。つまり、ようやく表現した子どもの心的内界から学ぶことを通して、次の新たな関係性へ移行するわけです。
この大会では、社会的弱者になりがちな子どもの視点に立ち、さまざまな領域に従事する方たちにとって日頃の実践や研究のヒントをつかんでいただけるような内容にしていくことを目指しました。
大会会場ですが、東京都町田市の公共施設である「和光大学ポプリホール鶴川」を押さえることができ。新宿から約40分、小田急線「鶴川駅」徒歩3分のところにあります。
学会員の方だけでなく、地域の方にも参加していただけるような大会になるよう努めたいと思います。どうかお誘いあわせいただき,多くの方のご参加を心よりお待ちしております。
日本精神衛生学会第34回大会
大会長 菅野 恵(和光大学准教授、日本精神衛生学会常任理事)
第34回大会の副大会長を仰せつかりました和光大学の末木新です。大会長(菅野恵先生@和光大学)の設定した今大会のテーマは、「子どもから学ぶメンタルヘルス」となっております。子どもという視点から我々が日々接しているメンタルヘルスに関する諸問題を改めて眺めてみることにより、様々な気づきが得られるというのが本大会の趣旨です。
私自身の専門は自殺学です。一般に子どもの自殺率は非常に低く、大人と比べた時に自殺で亡くなることはほとんどありません。なぜ子どもは自殺をすることがほとんどなく、大人になるとそれが急激に増えるのか、という問いを考えてみると、自殺予防戦略を考える際のヒントが見えてきそうです。同時に、世代という観点に着目をすると、また面白い発見があります。例えば、ここ10年ほどで20歳未満の世代を除くあらゆる世代の自殺率の世代間差が急速に縮まってきているのですが、これが社会のどのような変化を反映しているのか、と考えてみると、これもまた非常に示唆に富んだ答えが得られそうです。
このように、我々が日々の業務の中で関わることのある様々な精神衛生に関する課題も、「子ども」というフィルターをかけて問いを発することで、新たな側面が見えてきます。そのような発見を期待しながら、皆様の発表/来場を楽しみにしたいと思います。どうかお誘い合わせいただき、多くの方に参加いただけますよう、お願い申し上げます。
日本精神衛生学会第34回大会
副大会長 末木 新 (和光大学准教授)
日本精神衛生学会
第34回大会事務局
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